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藤田登太郎 作品集『桃山志野現代に焼く』

 

 

 

 

(サイズ) 30cm×30cm

 

■ 志野茶碗 ( 藤田登太郎 撮影 ) が 90碗カラー掲載されております。
■ 各お茶碗に藤田登太郎オリジナルの和歌が詠まれております。
■ 2006年3月 出版
■ 革装丁〔 革カバー・箱入り 〕
■ 300部限定

 

――   その作品集『桃山志野現代に焼く』とはどのようなものなのですか。ご出版にあたられては随分ご苦労を重ねられたとお聞きしましたが、一番ご苦労をされたのはどういった点だったのでしょう。

藤田   何もかもが初めてのことで構想から5年、6年は経っていました。試行錯誤の末、見本となる一冊を作ってしまったほどです。なかでも一番時間を費やしたのは志野茶碗九十点の写真撮影でした。最初、プロで活躍中の友人に撮影依頼をしましたところ「登太郎さんの写真はワンカット十万円でもイヤだ。」と断られてしまいました。長年の付き合いなので拘りだしたらキリがないことをよく知っていましたからね。

 

――   写真撮影のどのようなところに一番時間がかかったのでしょう。そして、その見どころとはどのようなところですか。

藤田   志野茶碗のもつ雰囲気を一番大切にそして自然な形で表現したかったので、それぞれの茶碗を様々な場所や時間帯で撮影しました。自然光の入り方や角度を替えて一碗に何十枚も撮影し、その中から厳選しました。紙の種類やプリンターによっても微妙に色が違うことが分かったので、何社ものメーカーの用紙を取り寄せて使い分けました。そのプリンターも使い過ぎて何台も壊してしまったほどです。作業を全部終了しいよいよ印刷所へ送る準備を終えた後も一晩寝ると気になる箇所が次々と出てきたため、また初めからやり直したという経緯もあります。印刷後の雰囲気も気になったので愛媛県から長野県の印刷所までわざわざ志野茶碗を持って出向き、いろいろと細かく指示させていただきました。一生のうちに何冊も作れるものではないと思い、ペーパーの質や色、爪にまで拘りました。装丁に使用する革も自分で探し、その革装丁に印字している「桃山志野現代に焼く」も通常では使用しないという二十四金の箔を使用してもらいました。

 

――   写真もプロの藤田先生が、手こずったという作品集は拘りと思い出がたくさん詰まっているのですね。装丁を拝見しただけでもその重厚さが伝わってきす。実際の志野茶碗を前にしているような興奮や感動があり、志野茶碗の立体感のある造形や凛とした空気感、影のひき方などにも拘りが感じられました。志野茶碗とそれぞれに付けられた銘、そしてその志野茶碗に詠まれた和歌が一体化しているところも見逃せません。この和歌も先生が詠まれたものだそうですが、九十碗すべての志野茶碗に和歌を詠んでいらっしゃるのですね。

藤田   和歌は若い頃から日記がわりに詠んできました。数にすると六万首以上になります。まだまだ更新中ですので最終的にはどれくらいの量になるか分かりません。以前、和歌集を作ろうと考えたこともありましたが今は段々と自然に無くなっていけば良いと思っています。この作品集『桃山志野現代に焼く』の最初のページに詠んだ和歌は、実は私の辞世の句なのです。私は十数年前に末期癌の宣告を受け、あと二カ月の命だと医師から告げられました。摘出手術前日の夜に詠んだ私の辞世の句から始まって、私の辿って来た人生を回想するような順番で綴っています。例えば、最初の方に掲載の「熱田津」と銘を付けた志野茶碗には「にぎたつに 安芸潮はやす 来島の 岩たつまにま 泡たちながる」という和歌を詠んでいます。熱田津(にきたつ)は愛媛県を指し、泡(阿波)は徳島県を指しています。本来、熱田津の熱は「熟」という漢字ですが、私は熱い想いを抱いて徳島から愛媛へやってきたということを詠んでいるので、あえて熱という漢字を使っています。最後の敦盛という銘を付けた志野茶碗には幸若舞の一節を用いていますが、私は「下天(げてん)」を化けて転ぶという意味で化転としています。

 

――   熱い想いを抱いて徳島県から愛媛県へやって来られ桃山志野の再興に懸けた自分の人生を綴った作品集ということですから、やはり先生ご自身が写真を撮られたのは正解でしたね。それに様々な箇所に拘った理由もよく分かりました。普通は本を出版する時、自分の代表作や気に入ったものを中心に掲載すると思うのですが、人生に沿った志野茶碗を掲載されているところが藤田先生の作品集らしいですね。

藤田   作品集にも載せていない、茶陶展でも披露していないという志野茶碗もあります。作品集『桃山志野現代に焼く』は、国立国会図書館の東京本館と関西館にも一冊づつ納本しています。愛媛県の与州窯工房のほか各地で開催中の茶陶展会場でもご覧いただけますので、機会がありましたら是非ご覧になってください。


※ 藤田登太郎の作品集『桃山志野現代に焼く』に掲載の志野茶碗は、正木美術館(大阪府泉北郡忠岡町)様へ順次所蔵していただくことになっておりますので、正木美術館様でもご覧いただく機会があるかもしれません。

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